本日29(土)より『物質の循環展Ⅲ ケルン』が始まります。
「自然との共生と物質の循環」をコンセプトにして、
第一回目は植物、二回目は蝶を制作しました。
自然の素材であり人間が精製した金属を用いて、
自然の中で生まれた普遍的なモチーフを制作することで、
「自然との共生と物質の循環」という概念を自分なりに体現しました。
今回の第三回目のケルンは、流木や倒木で制作しています。
素材は金属のように人間の手を介さない自然のものですが、
かたちは人間にしか表せられないものです。
自然の中に存在するものを、人間の意思によってかたちにする。
たとえ自然の悠久の時間軸によって崩れ落ちても、
人間がいる限り、何度でもかたちを表現していくことができます。
そしてそれは、ひとりの人間でも表現できるものであり、
かかわりあって生まれるものでもあり、
自然とともに存在していかなければ、かたちとして紡いでいけないものです。。。
相変わらず自分のことはうまく表現できませんが、
皆さんのご感想を、心よりお待ち致しております。
カテゴリー:exhibition
投稿日:2013年6月29日 1:26
1945年6月23日から、68年を数えました。
親や親戚たちが歳をとったなと感じるのも、無理はありませんね。
沖縄は先日、一足早く梅雨明けを迎えたそうです。
友人たちから送られてくる眩しそうな空の写真を眺めながら、
6月23日という一日を憶うのです。
その時そこにいたわけではありませんが、
モノクロの画像は記憶の中にいつでも引き出せるようにあるようです。
それは、たくさんの出来事を伝え聞いて来たからなのかもしれませんし、
沖縄のおうちに置いてあった、坂本万七さんの写真集をいつも見ていたからかもしれません。
もしかすると、塀に残っている、無数の銃痕のせいかもしれません。。。
大戦後68年、戦争開始から72年になりました。
帰省しても、病院や介護施設にいることの方が多くなってしまいましたが、
これからあと何十年経っても、沖縄戦は語り継がれていきます。
人々が生きるということを必死で見つめていたわずかな時間。
戦後これだけの時間が経とうとも、いまだ消えることのない、
生と死を焼き付けたセルフポートレート。
五感のすべてを塞いではならない、6月23日という伝承式。
カテゴリー:沖縄
投稿日:2013年6月23日 23:26
人はなぜ山に登るのか。
「Because, it is there.(そこに山があるからだ)」
かつてジョージ・マロニーがエベレスト登頂前に語った有名な言葉ですが、
山に登る理由とは無数にある山と同じように、それぞれ多種多様であるように思います。
達成感がもたらす至福、克服から生まれる自信、自然との対話、
文明の及ばない太古の姿から得る泰然自若、宇宙に近づくことによるカタルシス….
大きい山小さい山、高い山低い山、
急だけどまっすぐな道、なだらかだけど曲がりくねった道、
見通しはいいけれど崖ばかりの道、先は見えないけれど森や生きものに囲まれた道….
なんだか人生そのもののような気がします。
人生にいろいろな紆余曲折があるように、山も思い通りにはさせてくれませんから。。
そんな山登りの道中に、普遍的で寛容で純粋な存在を目にすることがあります。
もちろん自然が作り出したものがその大多数を占めますが、
だからこそより際立つ、人為的なかたちをしたもの、それが『ケルン』です。
ケルンは山頂に近づけば角がある岩石で、麓に近づけばまるい石ころで積まれたものになります。
おそらく、ケルンの年季の入り具合から察すると、
太古からそれを積み上げるという習慣が、人にはあったのだと思います。
一見、自然と一体になって、思考の入り込む余地などないように思えますが、
それらケルンには、独自の哲学と思想が感じられます。
ひとつひとつの石は、物質として存在している具象的なものですが、
積み上げられたそれは、精神の尊厳であり、物質としての仮象であるような、
抽象的なシンボルに僕には見えました。
自分が一番上に積んだものも、また誰かが上手に積み重ねていきます。
それでも人が積めるような小さな石は崩れ落ち、自然が積み重ねた大きな石は動きません。
所詮、人間ができることは限られているのかもしれません。
この都会では、僕らひとりひとりがそれぞれケルンなのかもしれません。
ひとつの目標、意志や理念に辿り着いたとき、そして向かうとき、
またケルンをひとつひとつ積み重ねていきます。
指標になるべく事象がどうあるかによって、人生の豊かさは変わってくるのかもしれません。
宇宙に近づくための羅針盤 ケルン
山や森の精霊たちが宿る ケルン
数々のドラマや輪廻を刻んだ 山の道標
『物質の循環 Ⅲ ケルン』
会期:6月29(土)〜7月14(日) 11:00〜18:00 ※月・火・水は定休日
出展作品(予定):ケルン、ケルンの彫像、精霊の彫像、金属の植物、樹脂、ステンドグラス押し花など約50点
作品の詳細などは、このblogにてお伝えします。
カテゴリー:exhibition
投稿日:2013年6月14日 15:19