夏山に年々加わる混雑に辟易させられる意識の反動からか、
静かな季節の山へと気持ちが赴く初秋の頃。
そこはかとなく夏の名残をとどめているこの季節には、
微妙で繊細なドラマが待っている。
立山雷鳥沢に向かう途中に、
山母子の群生が見られる場所がある。
この花の白い花びらに見えるのは総包片で、
花弁は中央に散房状に開いた黄色い頭花である。
種小名にあるmargaritaceaは、
「真珠のような」という意味を持っている。
去りゆく季節と迎える季節が同居し、
時に棲み分けて融け合い、
交じり合う初秋の日暮れ。
あかあかと夕陽が照らし、朱に燃えるくさむらの中、
静かに寄り添う真っ白で小さな山母子たちは、
その名の通り、真珠のような輝きを見せる。
キンとした澄んだ空気が舞い降りる紫紺の稜線とともに、
しっかりと季節を呼び、
ひっそりと秋の山路を飾る季節のコサージュ。

細葉山母子
Anaphalis margaritacea var. angustifolia
『金属の像刻花』出展作品
frame of metal plants : w285h400t44

『金属の像刻花』
昨日中日のアロマテラピーワークショップも大変盛況をいただきました。
どうもありがとうございました。
会期中盤は本日15日、明日16日(月)のオープンとなっております。
慌ただしい年末の時期ですが、
ご興味の方ございましたら是非ご覧頂ければ幸いです。
展示会DMなどの詳細は下記をご覧下さい。
http://specialsource.jp/myblog/2013/11/25/「金属の像刻花展」/
カテゴリー:exhibition,金属の植物
投稿日:2013年12月15日 13:39

昨日より「金属の像刻花」がはじまりました。
昨日も多くの方にお越しいただくことができました。
本当にどうもありがとうございました。
2013年最後のatelier galleryは3週に渡っての土日月、のべ9日間オープンいたします。
どうぞ宜しくお願いいたします。
今回は「金属の像刻花」というタイトルが示すように、
和名を持つ草花を制作しています。
日本原産とは限りませんが、古くから日本で親しまれている花たちです。
私見で申し訳ありませんが、西欧の芸術、美というものは、
おそらく人間があってその上に個人という自己を確立してきたように思います。
一方日本では、人間ではなく自然ではなかったか、と感じます。
自然と寄り添い調和していく中で美という境地が生まれ、
自然に対して人間の心を介在させることによって、
自然に宿る意志を美というものまで到達させました。
西欧の芸術との決定的な違いは、そこにあるのかなと考えています。
枯れた花、虫の喰った葉、鳥たちが喰い散らかした実の中にも、
自然が垣間見せる真実の顔があり、その一瞬をとらえる。
かの千利休がもたらした侘び茶の美意識、
どんな名もなき花にも神が宿ることを見出したその革命的な理念は、
西洋化された現在の日本にも脈々と受け継がれています。

「金属の像刻花」は、世界中どこの土地へ行っても受け容れられるようにありたいと考え、
欧米のステンドグラスを用い、ソリッドな鉄のフレームの中に納め、
博物学的な姿に草花を閉じ込めるという、西洋の様式を意識して作られています。
今回の和名を持つ草花たちは、以前からatelier galleryの洋の空間に、
和テイストを強くもつ花たちがどう見えてくるのか、
グローバルな視点を養う上で、まず日本の作家としての自然美の捉え方や、
客観的な視点を理解したいと考えていたところからモチーフに選定しました。
「金属の像刻花」は明日9(月)、来週の14(土)15(日)16(月)、
再来週の21(土)22(日)23(月)のオープンとなります。
その他の平日は、作業着でのお出迎えになってしまいますが、
事前にご連絡いただければ調整が可能な日もございますので、お気軽にご連絡ください。
カテゴリー:exhibition
投稿日:2013年12月8日 18:22