
木枯らしが吹き、いよいよ秋も深まっていく季節を迎えています。
11月のatelier galleryは今週末11月1日(土)から水・木・金の休みを挟んで、
10日(月)までオープンして「中村大介・秀野祐介展」を開催いたします。
日本民俗学の開拓者の柳田國男さんが、
欧米のスピリチュアリズムに傾倒されて「遠野物語」を執筆したのは有名な話です。
スピリチュアリズムとは、人間の生命や霊魂の死後存続に基づいた哲学思想ですが、
柳田さんは草木、動物、無生物などのひとつひとつに宿っているとされる超自然的な存在である精霊や、
人間の理解を超えた奇怪な現象を起こす不可思議な力を持つ、
非日常的な存在である妖怪などといった、
人間以外のものたちについても含まれる哲学思想だとも述べられていました。

だいちゃんが作る山びこは、
それぞれの樹々に宿る超自然的な存在が、
だいちゃんを通して僕らの前に現れてくれているのかもしれません。
また、非日常的な存在とはいつでもそれぞれの精神の中に宿っているものであり、
何からも解放された自由なものであることを伝えようとしているように思えてきます。
今回の山びこは20点ほどになります。
皆さまのご来場を心よりお待ちしております。

「中村大介・秀野祐介展」
会期:2014年11月1日(土)〜4日(火)、8日(土)〜10日(月)の7日間
会場:special source atelier gallery
カテゴリー:atelier gallery
投稿日:2014年10月28日 20:37

穂高の頭上に満月が佇む夜明け前の静寂。

雲海の果ての輝きが色づき始める。

飲み残したコーヒーが目を離した隙に凍りつくほどの寒さの中、
じっと朝日を待つ。


空が明るくなってから日が出るまでの時間は、
途方もなく長く感じられた。
この暖かさに改めて太陽の恩恵を感じ、大地の神々しさに息をのむ。

山の朝は慌ただしく、
すぐに撤収してパッキングを済ませ、
今回の目的の頂き、常念岳を目指す。

いくつかのピークを越える稜線はアップダウンが激しく、
吹き付ける冷風と相まって、思うように進まない。

陽射しが凍りついた地面を照らし、解かしていくのを見ながら、
一歩一歩進んでいく。

高山では秋はすでに終わり、冬支度が足早に行なわれていた。

そんな樹林帯に誰よりも早くピークに辿り着きたい足早な人もいる。

最後の登りは見上げるのが嫌になるくらいに続いていた。

懸命に岩をよじ登り、ついにピークを眼前に捉える。

振り返れば美しい稜線。

視界に飛び込んでくる北アルプスの山々。

その先の稜線もまた見事なまでの美しさを放っている。

時間と体力の許しがあるならば、
このまま目の前の稜線を歩いて白馬まで行ってみたい。

田淵行男さんが生涯をかけて206回登頂された常念岳。
初めての登頂で与えていただいたこの天候に胸がいっぱいになった。

ピークに辿り着くのにあれだけの労力を費やしたからには、
下山も長く険しい道のりが待っている。
常念小屋がいつになっても大きく見えてこない。
膝が笑うを通り越して、膝がデスる。
明日の朝は生まれたての子鹿のように起きることになるのだろうか。

小屋を過ぎればすぐに樹林帯の中へ。
派手な色づきがない分、落ち着いたコントラストがファインダーを埋めてくれる。

沢まで辿り着けば、ゆるやかな勾配を進むことになる。
田淵さんが見た景色がそこかしこに広がる贅沢な空間。
次回はこの山だけで、ゆっくりと時間をかけて歩いてみたい。

10月も半ばを過ぎるとアルプスの山々は冠雪し、
4ヶ月間にわたる登山シーズンは幕を閉じる。
晩秋の薄暮に色づく沢づたいの登山道には人影もなく、
もうじき訪れる冬の到来に備えて、ひっそりと静まり返っていた。
カテゴリー:山
投稿日:2014年10月24日 13:53

シーズン終了間際。
北アルプスへ。

ほとばしる生命感を見せていた植物にもやってくる朽ちていく季節。
眩しい陽光が最後の輝きを与えてくれている。

山頂まで5時間。
重いザックを背負っての登りはかなりこたえる。
北アルプスは想像以上に急な登りが続いていくため、
カメラをザックにしまい、ひたすら登り続けて高度を上げていく。

樹林帯を抜けると雲の上に常念岳の姿。
田淵さんの愛したこの山には翌日に向かう。

蝶ヶ岳の山小屋がおぼろげながら見え始めると、

森林限界の稜線に辿り着き、

しばらくして見えてくるのはあの山の頂。

肩で息をしながら辿り着いた山頂に待っていた景色。

どこまでも高く深い青色の空と3,000Mの山々が連なるスカイラインに、
しばらく立ちすくみ言葉を失う。


秋の山の夕方は短く、
冬のような寒さの山頂へ、暖かな街から湧き上がってくる雲が覆い始める。

夕焼けに照らされる絶景を見る機会はまた次にお預けの様子。

次第に闇に包まれていくと、夜はガスの中に埋まる。
夕食を済ませると視界もないのでテントに入り、
風の音を聞きながら眠りがやってくるのを待った。

不慣れな野営では眠りは長く続かない。
外へ出るといつの間にか雲は北へ消えていた。

その北には北斗七星が輝き、槍ヶ岳山荘の明かりが見える。
まだ皆さん起きているようす。

西の空には天高く伸びゆく天の川と、
デネヴ、ベガ、アルタイルの夏の大三角形が山の向こうに沈んでゆく。

天頂に輝くのは秋の星座アンドロメダ。
凍てつく山頂で、近づいた宇宙との間に時間の変遷は感じられず、
いつまでもこの星々を眺め続けた。
カテゴリー:山
投稿日:2014年10月21日 9:00
10月のatelier galleryは、13日の祝日に台風19号の接近に伴い大雨に見舞われましたが、
土・日・火の3日間は影響もなく、多くの方にお越しいただきました。
皆さんどうもありがとうございました。
donum相澤さん、休憩される時間もなく本当にお疲れさまでございました。
4日間どうもありがとうございました。
さて、つい最近まで夏だったと思っていたら、
あっという間に冬が来てしまいそうな雰囲気がする今日このごろです。
来月11月のatelier galleryは、いつもより早めの第一週の11月1日(土)からオープンしまして、
「中村大介・秀野祐介展」を開催します。

今年6月のhaseさんでの展示会でお目見えした「山びこ」。
今回は新たな山びこたちがやってきます。
どんな姿でどんな名まえなのかとても気になるところですが、
きっと楽しませてくれると思います。
二人に共通する素材は木ですが、
秀野はカトラリーや小家具の他にレザーを用いた作品も制作しています。
11月はいつもよりもやさしい雰囲気の空間になりそうです。
「中村大介・秀野祐介展」
会期:2014年11月1日(土)〜4日(火)、8日(土)〜10日(月)の7日間
会場:special source atelier gallery

カテゴリー:atelier gallery
投稿日:2014年10月16日 9:48