コウホネ
スイレンといえばモネ、モネといえば印象派です。
僕はブリヂストン美術館で、モネの睡蓮を見ました。
「光の画家」と呼ばれるとおり、水面に浮かぶ睡蓮と、水中の茎や水草、
水面に映る空や樹木の反映が、渾然一体となって描かれていました。
白やピンクや紫の睡蓮の中で、小さく浮かぶ黄色い花が印象に残ったのを覚えています。
コウホネは日本と朝鮮半島に分布するもので、同じスイレン科の水生植物ですが、
当時のフランスには自生していなかったようです。
しかし、モネが日本美術に傾倒していたことは有名で、睡蓮の連作の中にも数点、
日本風の橋が描かれています。
当時、日本風の橋が架けられたモネの池には、日本のコウホネが咲いていたのかもしれません。
雨上がりの夕暮れどき、汚れる水をたたえた濁った池に、無垢の花が現れる奇跡。
そんな瞬間を垣間みると、モネが睡蓮をこよなく愛した理由がわかるような気がします。
コウホネ
学名 : Nuphar japonicum
英名 : Yellow water lili
スイレン科コウホネ属の水生の多年生草本。
河骨の和名のとおり、地下茎は白色で、
葉のあとが点々とある。
花は6月から9月にかけて次々と咲き、
その色は光り輝く黄金色で、
曇りの日でなければ撮影が困難である。
コウホネは、湖沼や小川や用水路などの
減少とともに、他の水生植物同様、
自生のものが減っています。
日本固有種のオグラコウホネに至っては、
絶滅の危機にあるそうです。