戦後70年

 

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日が傾き始めてから夜になるまでの間、

 

首里の街を散策するのが好きです。

 

カトリック教会から瑞泉の前を通って金城町から首里城へ、

 

守礼門からアンデレ教会に下りて池端へ、

 

龍潭池を眺めながら県立博物館を過ぎて首里教会へ。

 

時間があれば久場川のりうぼうまで歩きました。

 

その頃にはすっかり夜になっていますが、

 

そこから汀良町を過ぎて家まで歩く道は、

 

南部からの風が心地よくて、

 

いつも清々しい気持ちになります。

 

 

 

1945年5月。

 

首里城に日本軍の司令部が置かれ地上戦が始まると、

 

それまで攻撃を避けられていた首里城も、

 

守礼門や円覚寺なども含めて、

 

すべて消失してしまいました。

 

焼き尽くされた町に残ったのは、

 

傷ついたアカギやガジュマルなどの樹々と、

 

無数の瓦礫だけだったそうです。

 

今でも首里の町を歩くと、

 

守礼門前のヤシの木をはじめ、

 

町に残る古い石垣などに、

 

多くの銃痕を見ることができます。

 

 

 

戦後70年。

 

ここで暮らしていた先人たちのことを想うと、言葉になりません。

 

平和であり続けることの難しさと尊さを実感しながら、

 

南風薫る故郷を想う、今日という日です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冬の海

 

 

 

 

 

 

 

この数年で同業の友人が2人、沖縄に移り住んだ。

 

1人は完全移住で農家に転身。

 

もう1人は、仕事は東京のオフィスで隔週末に沖縄に帰っているそうだ。

 

2人ともに沖縄の友人知人は数えるほどしかおらず、

 

その中でも付き合いの長い人はいなかったらしい。

 

決断に至るまでは、大変だったと思う。

 

そうは思っても、見知らぬ土地で新しい生活をスタートするには、

 

それ相応の覚悟がいるだろうからだ。

 

ましてや沖縄は国内とはいえ、独特の文化と風習が色濃く残っている。

 

でも、数年住めば良いところも悪いところも見えてくる。

 

その時に、移住して良かったと思ってくれればいいなと思う。

 

 

 

 

 

夏の海はまぶしくて雄々しくて、生命をも熱くするが、

 

冬の海は静かだ。

 

色合いも佇まいも柔らかく、冷たそうに見えて温かい。

 

荘厳な山々の風情もすばらしいが、

 

穏やかな海に包まれる時間はとても大切だと実感する。

 

魅力的な時よりも、人生は静かな時の方が長い方がいい。

 

この冬の海のように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Jasminum polyonthum Franch.

 

 

 

 

 

 

先月末にだいちゃんとシモンさんと溝ノ口の場末の居酒屋で遅めの新年会をした時、

 

久しぶりに島酒(泡盛)を飲みました。

 

どうでもいいことなんですが、僕はあまりこっちでは島酒を飲みません。

 

なぜなら、なんとなく内地で飲むよりも沖縄で飲む方がおいしい気がするからです。

 

島酒はやはり温暖で湿度が高い沖縄の風土が生み出したお酒ですので、

 

東京の、特に乾燥した冬に飲むには適さないのだとは思います。

 

ではなぜ島酒を頼んだかというのはさておき、

 

沖縄では飲み易い部類に入る「残白(残波の白)」の25度がありましたので頼みましたが、

 

案の定、何かもの足らないのです。

 

ふたりはおいしいと言って飲み続けますが、

 

僕はやっぱりしっくりいきませんので、何か良い割ものはないかなと厨房をちらちら探索しました。

 

沖縄では当たり前のように用意されているシークワサーやうっちん茶ですが、

 

こちらでは残念ながらありませんでした。

 

失望する僕は一縷の望みをかけて店員さんに「ジャスミン茶とかありませんか?」と聞きました。

 

すると店の奥から出てきたのは「さんぴん茶」のペットボトル。

 

僕はあまりの嬉しさに店員さんと固い握手をしていました。

 

 

 

 

正月明けに沖縄に帰省すると、ちょうど東京でジャスミンの花が咲く頃の気候になります。

 

僕は正月に帰れないこの数年を顧みながら、

 

ジャスミンの香りのする島酒を飲んで、親戚や友人たちのことを思い出しながら、

 

冬の東京でもいけてる島酒の割り方の発見に、ひとりにやにやしていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

羽衣素馨

 

Jasminum polyonthum Franch.

 

モクセイ科ソケイ属の蔓性常緑灌木

 

 

 

香りが良く、うすいピンクがかった白い五光星のような花をつけ、

 

おもに観賞用植物として栽培されています。

 

ジャスミン茶として使用されるのは主にアラビアジャスミン(茉莉花)ですが、

 

この花は見た目も良く、お茶の上に香り付けとして重用されています。

 

 

 

※「さんぴん茶」とはジャスミン茶の中国語「香片茶 (シャンピェンツァー)」から転じた名称です。

 

沖縄でもっともポピュラーなお茶です。

 

しかし沖縄では「さんぴん茶」で島酒を割る人はあまり多くはないようです。。

 

北部のリゾートホテルなどでは、お茶やお酒にこの花が香り付けに入れられていて人気のようですが。。。

 

 

 

 

 

 

 

慰霊の日

 

 

 

 

 

 

 

 

1945年6月23日から、68年を数えました。

 

親や親戚たちが歳をとったなと感じるのも、無理はありませんね。

 

 

 

沖縄は先日、一足早く梅雨明けを迎えたそうです。

 

友人たちから送られてくる眩しそうな空の写真を眺めながら、

 

6月23日という一日を憶うのです。

 

 

 

その時そこにいたわけではありませんが、

 

モノクロの画像は記憶の中にいつでも引き出せるようにあるようです。

 

 

 

それは、たくさんの出来事を伝え聞いて来たからなのかもしれませんし、

 

沖縄のおうちに置いてあった、坂本万七さんの写真集をいつも見ていたからかもしれません。

 

もしかすると、塀に残っている、無数の銃痕のせいかもしれません。。。

 

 

 

大戦後68年、戦争開始から72年になりました。

 

帰省しても、病院や介護施設にいることの方が多くなってしまいましたが、

 

これからあと何十年経っても、沖縄戦は語り継がれていきます。

 

 

 

 

 

人々が生きるということを必死で見つめていたわずかな時間。

 

戦後これだけの時間が経とうとも、いまだ消えることのない、

 

生と死を焼き付けたセルフポートレート。

 

五感のすべてを塞いではならない、6月23日という伝承式。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山原の猫

 

 

本部町の山の中にある雑貨屋さんの駐車場で、青に似てる猫を発見。

 

違う方向を見ながらゆっくり近づいてみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャッターの音でびっくりぱっちり。

 

山原でくつろぐ、毛並みのきれいなかわいい子でした。

 

猫好きにはたまらないひとときですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

てぃしらじそば

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沖縄そばはいいですね。

 

地域によってそれそれの好みがあっておいしさも違いがありますが、

 

ラーメンのようにここ数年の短期間で過剰なアピールをするようになったりせずに、

 

どこ行っても至極自然に悠久の時間を積み重ねています。

 

首里には沖縄そばの名店と呼ばれるお店が多いと言われていますが、

 

C名T健くんがまごころ込めて作るそばはとてもおいしいです。

 

うちの奥さんの同級生なんですが、もうかれこれ30年、

 

T健くんは見た目も雰囲気も変わっていないそうです。

 

自分の持っている天分を自然に理解して、それを体現して日々積み重ねていく

 

とても大事なことなんですが、いろんなことに惑わされやすい現代社会では、

 

これを身につけることはとても難しいことなんだと思います。

 

その上で、少しずつ努力していくことが出来るかどうかは、もっと難しいんでしょうね。

 

何だか真面目な話になってしまいましたが、沖縄に訪れる機会がありましたら、

 

てぃしらじそばを是非ご賞味下さい。

 

写真を見るとおいしそうで、また明日も食べたくなりますね。

 

 

 

 

 

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てぃしらじそば

 

沖縄県那覇市首里汀良町1-1

 

環状2号沿い儀保と鳥堀の交差点の中間にあります。

 

モノレールでは首里駅からの方が上り坂が少ないです。

 

営業は11:30〜15:00、月曜定休です。P有ります。

 

 

 

 

 

 

 

ご近所の教え

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年末のお披露目会での作品のテーマを考えるのに煮詰まってしまい、

 

ご近所をぶらぶらと散歩に出かけました。

 

しばらく歩いて、カトリック教会へ行こうと思って坂道を上る道中、

 

小学校の正門前で六年一組の又吉くんの言葉に感動して、しばらく立ちすくみました。

 

「又吉くん、ありがとう。大人になるとどんどん難しくなってしまうことなんだけれど、

 

おじさんも君たちを見習ってやってみるよ。。。」

 

そう心の中でつぶやいている自分がいました。

 

カトリック教会の中に入って腰掛けて、祭壇を見ながらボーッとしていると、

 

とても静かで西日が暖かくてウトウトしてしまいました。

 

日が沈んでしばらくいましたが、ずっと静かなままのカトリック教会を後にしました。

 

そして、帰りにもう一度小学校の前を通りました。

 

後ろ向きの白い人の頭にあるのは帽子なのか、三つ編みなのか、パン屋さんなのか、

 

お医者さんなのかなんて、どうでも良いことを考えてしまいました。

 

のどかなひととき過ぎて、何に煮詰まっていたのかも忘れてしまっていました。

 

又吉くんの言葉とカトリック教会のセット。頭と心のリセットには素晴しいセットでした。

 

皆さんも機会があったらどうぞお試しを。

 

 

 

 
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『器展 休日の食卓』

 

 

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那覇空港から車で数分、ゆいレールで2駅目の小禄にあるDetail fullさんにて、

 

昨日の12日より、茜陶房の2人の展示会が開催されています。

 

Detail fullさんでの展示会は去年の11月以来2回目になります。

 

僕はまだDetail fullさんに伺ったことは残念ながらないのですが、

 

去年沖縄に移住した仕事仲間のFくんが、ご挨拶しに伺ってくれていました。

 

沖縄では見かけない洗練された空間ですが、沖縄らしい優しい空気感があるそうです。

 

その空間に2人の作品が並んでいます。

 

この週末は月曜日に海の日があるそうで、3連休となっているそうです。

 

ちょうど沖縄に行かれる方も多いのではないでしょうか。

 

8月に入ると台風のリスクが上がりますので、この時期の沖縄は好天が続くイメージがあって、

 

とても良い時期だと思います。

 

沖縄に行かれる方、沖縄にいらっしゃる方は、是非お立ち寄り下さい。

 

 

 

 

 

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『around the sea』でも陶器が用いられています。

 

土を送ってもらい、形にして乾燥させたら沖縄へ送って焼成してもらっています。

 

僕も20数年の付き合いですが、

 

嫁は同級生ですので、30数年来の親友の2人です。

 

希望に満ちあふれていた若い頃から、

 

楽しい時もつらい時も、志を共にしてきた2人です。

 

作品をご覧になったら、もしかすると、

 

『around the sea』と共通するものが、あるかもしれませんね。

 

『器展 休日の食卓』

 

7月14日(木)〜7月16日(日) 11:00〜19:00

 

詳しくは茜陶房、Detail fullさんのサイトをご覧下さい。

 

茜陶房:http://akanepottery.jugem.jp/?eid=147

 

Detail full:http://detailfull.ti-da.net/

 

 

 

 

 

 

 

慰霊の日

 

 

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カレンダーには、今日の日付の下には何も書かれていませんでした。

 

今年の年明けは12年振りに帰省できなかったので、琉球新報や比嘉おかず店のカレンダーではなく、

 

こっちの業者さんのカレンダーが掛かっていましたから、仕方のないことですね。

 

それでもこの日を忘れずにいられるのは、歳のせいかもしれませんが、

 

どうしても涙腺がゆるんでしまう日だからだと思います。

 

おじいちゃんやおばあちゃん、おじさんたちが、戦中戦後の話をする時はいつも、

 

悔しさや悲しさの涙が混ざったやさしい笑顔で話をしてくれていました。

 

今ではもう見ることができなくなってしまったあの笑顔を思い浮かべると、

 

涙が止まらなくなってしまいます。

 

 

 

 

 

 

1945年6月23日に沖縄本土での組織的戦闘が終結してから67年が経ちました。

 

今日行われた沖縄全戦没者追悼式で、朗読された首里高校3年生の金城美奈さんの詩の一節です。

 

 

 

<六十七年前を生きた人々の後ろに 私たちは続いている 私たちにできることは

 

あの日を二度と呼び戻さないこと 私たちに必要なことは あの日を受け止めて語り継ぐこと>

 

 

 

朗読した詩は、こう結ばれています。

 

 

 

<礎に刻まれた人々の 届けたかった思い 叶えたかった願い 私たちが届けよう

 

私たちが叶えよう 礎に思いを重ねて>

 

 

 

朗読を終えた金城さんも、おじいちゃんたちと同じ笑顔をしていました。

 

行き場のない怒りや悲しみを癒してくれるのはやさしさしかないこと、

 

そして語り継いでいくためには涙だけではなくて、微笑みが必要だということを、

 

しっかりと受け継がれている姿を見ることができた、6月23日でした。

 

展示会に向けて、Lucchiのdiaryも更新されています。

 

どうぞよろしくお願いします。

 

http://lucchi.jp/diary/

 

 

 

 

 

 

 

慰霊の日

 

 

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凄惨な被害とおびただしいほどの犠牲者を出した、

 

かの大戦から66年が経ちました。

 

 

国際通りは当時の復興の象徴として、焼け野原から目覚ましいほどの発展を遂げ、

 

1.6kmという長さだったことから、奇跡の1マイルと呼ばれました。

 

沖縄戦で一木一草まで焼き尽くされた1944年10月10日の首里大空襲では、

 

那覇市内の90%が焼失しました。

 

テニスコートくらいの広さに、直径3Mの砲弾痕が10個ほどの割合で出来ていたそうですから、

 

その凄まじさが想像を絶するほどであったことがうかがえます。

 

ー 1945年6月23日を、奇跡的に着弾を逃れた首里三箇所から

 

疎開していた山原(やんばる)で迎えた少年がいました。

 

少年は、巡査だった父や家族とともに首里に戻りましたが、

 

先祖から受け継いで来た家は無く、テントでの生活が待っていました。

 

教育など受けられるはずもなく、少年はアメリカ軍の作業に従事して、

 

家族の生計を立てなければなりませんでした。

 

 

少年は二十歳になると、少しずつ蓄えたお金を使ってベンチシートの車を買い、

 

個人タクシーを始めました。

 

おもに米兵が顧客でしたが、彼の気さくな人柄が、人から人を呼んで、

 

沖縄で初めて外車のタクシーを操るようになると、

 

力道山をはじめとする日本の著名人も、彼のタクシーを好んで利用するようになっていました。

 

当時の沖縄では、誰もが親兄弟を支えるために働いていましたが、

 

彼は家族の生活を養うということの他に、兄弟の学費を稼ぐという目的もありました。

 

そして、本土復帰が目前に迫った1960年代後半、

 

大学を卒業して立派な就職先に勤めていた弟から、1台のトレーラーを贈られます。

 

かねてからの夢だった運送業を、その1台のトレーラーからはじめることになりました。

 

何かの台紙だった厚紙を切り抜いて、車にあててスプレーを吹いて、

 

自分の会社のマークをトレーラーのドアに描きました。

 

何もかも自分たちで作り上げていくしかない環境でしたが、

 

一人一人が、「僕がやらねば誰がやる」と言い合って、頑張っていました。

 

彼もまたそうやって本土復帰に湧く沖縄を、ひたすら走り続けるトレーラーの中で

 

感じていたのでした。

 

 
そして現在、国際通りは今もまだ1マイルの道筋をそのままに在ります。

 

国映館やグランドオリオン、山形屋にダイナハ、国際ショッピングセンターなど、

 

なくなってしまったものはたくさんありますが、

 

その姿は、着実に受け継がれて行っているようにも見えます。

 

沖縄戦を10歳の時に迎えた少年は、大人になって、おとうになって、

 

今ではおじいになりました。

 

沖縄戦は語り継がなければいけない大切な史実ですが、

 

おとうたちが目を輝かせる、沖縄が躍動感に満ちていたあの時代の話を聞く度に、

 

消してはいけない灯(ともしび)が、他にもたくさんあることを、

 

思い出させてくれるんです。

 

大戦後66年、戦争開始から70年になりました。

 

この70年の道筋のすべてが、沖縄戦なのです。

 

 

 

 

 

 

 

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