昨年末になりますが、岩手県に行ってきました。
宮沢賢治と舟越さんです。
銀河鉄道に乗って、石川啄木。
岩手県立美術館で舟越保武さんと桂さんの彫刻に触れ、
花巻の宮沢賢治記念館へ。
注文の多い料理店にも行きました。ご馳走さまでした。
僕が彫刻を始めるきっかけとなった舟越保武さんの作品が、
一番たくさん見ることができるのは岩手県立美術館です。
桂さんの彫刻も版画作品も見ることができました。
ありがとうございました。
とても幸せな時間を過ごすことができました。
宮沢賢治も大好きな作家です。
涙が出てどうしようもなかったです。
花巻では駅で降りたときも、記念館のバス停にいるときも、
バスを乗った時も降りた時も、
子供たちが挨拶の声をかけてくれました。
文化として根付いているということなのでしょうか。
教育の大切さを改めて感じることになりました。
また、世界観という言葉が使われて久しいですが、
舟越さんの彫刻作品、宮沢賢治の文章を前にすると、
世界観という言葉では整理しきれないなと思いました。
世界観というのはあくまでも単発なものであるのかなと。
彼らから感じるのは人生そのものです。人生観です。
物故の作家の展覧会が人々を惹き込むのは、
その作家の人生そのものに触れることができるからなのかもしれません。
ライブで今を生きる僕たちにとって、
大いなる未来への指針となる術を感じながらも、
到底埋められない距離感のようなものがあることを突きつけられました。
脆弱な基盤で作られたようなものとは明らかに異なり、
まるで別の次元にあるもののように見えました。
今に比べれば不便で大変だったと思いますが、
彼らは不惑でストイックに自分を貫けることができる
良い時代を生きていたんだなと感じました。
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投稿日:2019年2月18日 17:54
金属植物の制作工程の中で、幹と枝を制作している動画を撮ってみました。
あらかじめ削って溶接しておいた鉄材のパーツを、
バーナーであぶって曲げて、溶接して曲げてという作業になります。
この後葉っぱを枝に溶接してつけていきます。
ムービーの添付ができませんでしたので、
興味のある方は下記のyoutubeをご覧下さい。
https://youtu.be/8ASLwp1dfAU
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投稿日:2019年2月12日 14:47
2015年の11月、奥秩父山塊の山を登った際、日暮れまでに下山が間に合わずに、
暗闇の中を2時間かけて下山したことがありました。
その日は午前中から晴天でしたが午後から霧が出始めたため、
山頂に立った頃は視界がありませんでした。
いつもならそのまま下山するところでしたが、
せっかくだから霧が晴れるまで少し待とうということになり、
山頂でゆっくりと遅い昼食をとりました。
霧から徐々に厚い雲に覆われ始めたころ、ようやく下山を開始しました。
通常の登山では登りよりも下りの方が時間がかからないのですが、
特に山深い山域では、登りと下りの差がほとんどないこともあり、
この山は確実に後者に属するほど山深く、
下山工程の半分をただでさえ視界が利かないうえ、
霧が立ちこめる暗闇の中を進むことになりました。
暗くなる少し前から、遠くでカラスが鳴いていました。
暗くなってから鳴き声は聞こえなくなりましたが、
ずっと羽をばたつかせているような音がしていました。
僕たちは自然と、走るくらいのスピードになっていました。
しばらくすると、妙な異臭が漂っていることに気づきました。
雨上がりに野良犬や野良猫に出会った時のような、
動物園に入った時のような匂いです。
それに生臭さ、魚とはまた違う嗅いだことはないけれど、
身体が記憶しているようなものでした。危険だと。
その時、犬の遠吠えが聞こえました。
犬のような、ではなく、あれは確かに犬だったと思います。
とても長く感じました。心に響き、心に残る遠吠えでした。
実際にはそんなことはなかっただろうと思いますが、
顔の周りに動物の毛らしきものがまとわりついているような感覚がありました。
風に流されて来ていたのかもしれません。
早く駆け下りたくても膝が言うことを聞いてくれない状況の中、
後ろを振り返ると、闇の中で何かが僕のヘッドライトに反射しました。
眼です。あれは間違いなく眼でした。
鋭い眼光で僕らをじっと追っているようでした。
目を凝らすとヘッドライトに照らされたその姿は犬でした。
もう一匹以上近くにいる気配がしました。
見たことがない犬でした。
犬は大好きで小さい頃からいつもそばにいました。
病院でも犬の系統図を見ていましたし、犬は良く知っていると思います。
友人がいつも連れていた琉球犬に似ていたかもしれません。
でも、目にしたことがない犬でした。
牙が見えました。下あごの牙が上あごの牙と擦れ合いながらやや内側にありました。
興奮はしていませんでした。
僕らの吐く息はずっと白かったのですが、
彼らは息を吐いているようには見えず、僕らを冷静にじっと追っているようでした。
それから1時間以上をかけて駆け下りましたが、それ以上は何も覚えていません。
林道脇の車までやっとの思いで辿り着きましたが、
大ちゃんがパニックになっていて車のキーを何度も差し間違えて、
足元にある大きめの石を拾って姿勢を低くしていたほどでした。
それからしばらくして、その近くの山域の登山道で出会った人から、
ある絶滅種の獣の話を聞きました。
その獣は今からおよそ100年前の1905年に最後の個体が奈良県で捕獲されましたが、
その後も目撃情報が絶えず、近年では1996年に同じ秩父の山域で目撃され、
2000年代にも秩父や九州や四国の山域でも写真に収められているというものでした。
それはニホンオオカミ。
オオカミ?まさか、と思いました。
僕は、もののけ姫のオオカミのイメージしかありませんでした。
そんな僕が、その写真を見せられたとき、息をのみました。
あの時の犬だ。
絶滅危惧種やすでに絶滅しているといわれている植物種を、
稀に山の中で目にすることがあります。
その時の感覚は、目で見たというよりは、身体が近くにいるのを感じた、
そういう表現が的確かもしれません。
それでも絶滅したとされてはいますが、
自生地がないだけで、保護区域では存続している種でした。
100年前に絶滅した、植物ではなく、動物。
あれは幻だったんだと思います。
絶滅種は絶滅種のままでありつづけるべきなのではないでしょうか。
僕は犬を見たのです。野犬です。
でも、あの遠吠えは胸に突き刺さりました。
僕は日本人として生を授かり、あの遠吠えを聞くことができました。
あの時、この胸に涌き上がった感情は生涯忘れることはないでしょう。
あれは間違いなく古代から受け継いで来た「誇り」という感情でした。
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投稿日:2019年2月7日 0:45
上高地はとても明るい雰囲気で大好きな場所です。
1時間歩けば明神のイワナ料理、また1 時間歩けば徳沢のソフトクリーム、
さらに1時間行けば横尾山荘のスタミナ丼。
梓川沿いの林道歩きはとても長いけれど、
千手岩菲や山紫陽花など色とりどりの花たちを眺めながら、
お腹も満たされるという、至福の時間が待っています。
さて、横尾からは本格的な山路です。
橋を渡れば穂高連峰と圏谷が織りなす本場アルプスのような景観が待つ涸沢、
直進すれば日本アルプスのランドマークとしてそびえる槍ヶ岳へ向かいます。
そして涸沢はおでんと生ビール、槍ヶ岳山荘は焼きたてのパン。
僕はついつい橋を渡って涸沢に行ってしまいます。
今年は槍に向かえるかどうか、また秋にご報告いたします。
千手岩菲
Lychnis gracillima Makino
ナデシコ科センノウ属
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Flora of Tystnad 植物誌出展作品
東北から中部地方の亜高山帯や林縁に生息する花です。
上高地では、徳沢から横尾までの間で見つけることが出来ます。
真夏の太陽が直接当たるか当たらないかという場所に咲いていました。
とても優雅で美しい立ち姿の美人さんで、
風に揺られて涼しげで気持ち良さそうでした。
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投稿日:2019年1月27日 20:24
十数年前、ビンテージ家具を扱うhikeさんに置いてあった田淵行男さんの本。
「山の意匠」。
ゆっくりページをめくっていくと、
自分の前に新しい世界が開かれてくるのを強く感じました。
静かに湧き上がる感動が全身を包み込み、
人生を大きく変える一冊の本と出会うという、
生涯忘れられない貴重な体験となりました。
そのまますぐに神田の古書街へ向かい、
その「山の意匠」と、「山の季節」「安曇野」「浅間八ヶ岳」を手に入れました。
僕もお弟子さんの水越武さんと同じで、
山や植物や蝶の美しい写真ではなく、
田淵行男さんのストイックな姿勢に強くひかれました。
生命への親愛の思いが溢れていて、
写真集というよりは、確かに博物誌のように感じました。
水越さんが「山の季節」で、
『先生は山の自然をリアルに直視して、
それらをストレートに記録する作業をしていた』と述べられていました。
僕はこれにならって山に入り、目にしたものを作るようになりました。
その後数年をかけて「日本アルプス」「尾根路」「黄色いテント」「山の手帖」、
そして「高山蝶」などほとんどの著書を入手し、残るすべてを今でも探し続けています。
先日日曜美術館という番組で、田淵行男さんが取り上げられていました。
ご覧になった方も多いかもしれません。
田淵さんの本を初めて手に取ったあの時を思い出しながら、
改めて生涯の師となった田淵さんの本を読み直す毎日ですが、
まだまだまだ自然への愛が足らないなぁと思う今日この頃です。
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投稿日:2019年1月21日 11:21
僕が深山に入って受け取ってきたものは、
ある人にとっては些細なもので、気に留めることのないものですが、
またある人にとっては心を震わせるもので、かけがえのないものになるかもしれません。
そんな些細なものに人生を捧げた人物がいました。
日本植物学の父、牧野富太郎先生です。
昨年の香川での展に併せて早朝の便に搭乗して、
高知県の牧野富太郎植物園に行ってきました。
僕はおもに日本の野草を制作していますので、
牧野先生が命名された植物を一番多く制作しています。
次いでカール・フォン・リンネ、次いでマキシモビッチです。
牧野先生とマキシモビッチの交流や須川長ノ助さんのことなど、
とても興味深く拝見しました。ありがとうございました。
僕はまだまだ植物に対しての愛が足らないなぁと思いました。
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投稿日:2019年1月14日 16:11
こんにちは。
香川県は高松市屋島の+106さんにて開催中の個展「季のフォルム」、
会期は後半となりました。
在廊しました初日には+106さんのご尽力により、
たくさんの方にご来場下さいました。
どうもありがとうございました。
自分たちが関わった空間で作品展が出来るということは、
幸せなことです。しみじみそう思います。
作家だけでやって行こうかと迷った時期もありましたが、
軸を変えないで本当に良かったと思います。
どうもありがとうございます。
「季(とき)のフォルム」
会期:2018年11月23日(金祝)〜12月2日(日) 11:00〜18:00 会期中無休
会場:+106 香川県高松市屋島西町2453-20 RENOWA YASHIMA 106
www.plus106.net
初日の朝は屋島に登り、屋島神社と屋島寺に立ち寄りました。
瀬戸内と五剣山の眺望が素晴らしかったです。
山と渓谷社の分県登山ガイド「香川県の山」の最初のページに記載されている屋島は、
風光明媚と謳われているだけあって流石でした。
また、屋島神社の入り口にあるうどん屋さんで肉うどんを食べました。
生の生姜を自分ですり下ろして入れました。
とても美味しかったです。ありがとうございました。
会期は残すところ4日間となります。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
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投稿日:2018年11月28日 23:19
こんにちは。
来週末の11月23日の祝日の金曜日から、
香川県は高松市屋島に昨年オープンされました+106さんで、
「季のフォルム」と題しまして、金属植物作品を出展します。
8年ぶりに蝶の作品も制作しました。
ハイエースにスチールサッシや棚やら何やら目一杯詰め込んで、
香川へ向かったのはまだまだ最近のことのように思います。
オーナーさんは4年ほど毎年atelier galleryにご来場くださり、
夢が現実になっていく過程を共有させていただきました。
自分たちで作ったお店で作品展を行なえるのは感慨深いものがあります。
お近くにお越しの際には、是非この機会にお立ち寄りくださいませ。
「季(とき)のフォルム」
会期:2018年11月23日(金祝)〜12月2日(日) 11:00〜18:00 会期中無休
会場:+106 香川県高松市屋島西町2453-20 RENOWA YASHIMA 106
在廊日:11月23日(金祝)
作品は21点出展する予定です。
www.plus106.net
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投稿日:2018年11月14日 17:50
こんにちは。
あっと言う間に「Flora of Tystnad 植物記」が会期を終えました。
長いようで短い25日間でした。
ご来場下さいました皆さま、どうもありがとうございました。
お声をかけて下さいましたIDÉEの皆さま、どうもありがとうございました。
20年振りとなりましたが、アウェイ感は微塵もありませんでした。
ホッとしました。。
自分を育ててくれた場所で展示をすることは、
この20年を振り返るようなことなのかなと思っていましたが、
過去を振り返るというよりは、新しいつながりが生まれたことの方が、
嬉しく感じられたのが正直なところです。
IDÉEはあの頃と同じように前を向いていました。
いろいろなことがあった20年だと思いますが、
僕は確かにこの場所に居たんだと思えました。
ありがとうございます。
次回は再来年2020年を予定しています。
今度のレセプションは真面目に集客を頑張らなければと思います。。
さて、atelier galleryのオープンですが、
11月はやはりオープンすることができません。。。
その分、12月は土日月を2回、6日間ほどオープンする予定です。
2週目と3週目になると思います。
3、4になる可能性もまだありますが。。
決まりましたらお伝えいたします。
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投稿日:2018年11月6日 21:57
青と白と黒の3色の羽根が、岩陰に咲く舞鶴草のそばに落ちていた。
山路で出会う鳥たちの落とした羽根に、僕が心を動かされるのは、
それらが容易に触れることのできない山の自然の一部で、
滅多に接触できない野生からの生の便りのように思えるからである。
たとえ小さくても、その中には奥深い山の造詣が凝縮され、
記録されているかのように思えるからである。
一の沢を下りる途中で休憩をしていると、
この羽根と同じカケスが常念に向かって飛んでいくのが見えた。
自然から受け取った便りを眺めながら、
また来年も山の友人たちに会えるのを楽しみに帰路に着いた。
Maianthemun dilatatum Nels et. Macb var. nipponicum Hiyama
舞鶴草
ユリ科マイヅルソウ属
size:w200 h285 t44
霧の多い山域の林床部に多く見られると書かれていることが多いのですが、
林床から外れた岩かげに自生しているのをより多く見かけているような気がします。
また、チゴユリと生態が似ているとも書かれていることが多いのですが、
チゴユリは丹沢山塊の標高400Mほどでも自生していますが、
マイヅルソウは南アルプスでも1000Mを越えないと見られません。
この花のように自然に生きるものたちは、机上では判断できない種が圧倒的に多いです。
Garrulus grandarius L.
懸巣
スズメ目カラス科カケス属
六本木ミッドタウンのIDÉEさんで開催中の「Flora of Tystnad モリソン小林 植物記」。
10月12日から11月5日までという、長い会期もあと一週間となりました。
会場は六本木ミッドタウンガレリア3階、11:00〜20:00まで開いています。
駅とつながっていますので、アクセスはとても良いかと思います。
今展では作品ひとつひとつにテキストを添付しています。
新たに変わった植物たちの表情とご一緒にご高覧下さいませ。
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投稿日:2018年10月30日 21:24