「根っこだ、伸びろ!」
こんにちは。
真っ赤な空間に緑です。ハレーションがすごいですね。
昔、映画館でジョーズ3を観た時に、
右側が赤で左側が緑のメガネを掛けましたが、
眼がチカチカしながら一日中作業してみて、その時のことを思い出しました。
そもそも立体なのに、3D感がハンパありません。
この展示は、岡本太郎賞と敏子賞という2つの賞を受賞した作家に与えられる展示です。
個展ではなく、太郎さんとの二人展になりまして、
対峙するといいますか、バトルをするような展示が求められます。
今回の展示では太郎さんのキャンバスに直接根っこやツルが触れています。
多分ダメだろうなと思いましたが、
展示のコンセプトのくだりが評価されて許可されました。
細かいことはいいよ、面白いからやろうと、
太郎もそう言うよ。
館長の平野さんは言って下さいました。
TARO賞は現代アートのアワードの中でも、
他とは全く違う概念で、フェアでブレがないんだなと改めて思いました。
TARO賞の制作を開始したのが2020年の6月、
2年に及ぶ取り組みもようやく終わりを迎えます。
振り返ると、一番嬉しかったのは入選の通知が届いた日で、
受賞後に作家さんやギャラリストと話す機会があって、
それからはいろいろずっとしんどかったです。
現代アート、コンテンポラリーアートの世界は、
作家もギャラリーも批評家も、より上の評価を求めています。
普通の人々に作品が売れることよりも、
芸術美術に精通し影響力がある5名に評価されるために、
作品を作るべきという考えが主流です。
ギャラリストもより上のアートフェアへ、
批評家もより上の作家の批評や大きな媒体へ、と。
僕には上というものが何か、
評価という概念がさっぱり分かりませんでした。
評価されたいと思うことはごく普通のことで、
良いことだと思います。
この世界でずっと頑張っている人たちを尊敬しました。
同時に、僕にはちょっとキツそうだなと思いました。
実際に体感してみないと分からない世界でしたから、
貴重な経験ができました。
近頃は持病のヘルニアで体力的に厳しくなってきまして、
長距離の車での移動や、
高い標高を目指す登山が難しくなってきてしまいましたが、
それでも何とかひとつひとつの植物たちに会いに行きます。
この子にはこれからどんな未来が待っているんだろう、
100年200年とずっと守られていてくれるといいな、
そんなことを考えながら植物を見ています。
自分にとって評価や芸術的な価値は、
大切にしてもらうことや、
少しでも先の未来へ残してもらうためには、
あった方がいいと思うくらいのものです。
他者の評価で判断されない人にとっては、
不必要なものかもしれません。
記念館のグッズショップにフレームの作品が飾られています。
ホワイトキューブに囲まれた壁ではありませんが、
設営の作業を終えて、眺めてみて、
とても誇らしく思いました。
自分の作品をそう感じることは、
とても大切なことですね。
第24回岡本太郎現代芸術賞 岡本敏子賞受賞特別展示
岡本太郎 x モリソン小林
「根っこだ、伸びろ!」
会期:2022年6月8日(水)〜27(月) 火曜休館 10:00〜18;00
会場:岡本太郎記念館
南青山6-1-19 03-3406-0801
※TARO賞の時には、間違って記念館に向かわれた方々が続出しました。。
今回はくれぐれも向ケ丘遊園には行かないで下さい。
表参道駅を目指して下さい。