10年
那須連峰 朝日岳
八ヶ岳 編笠山
2019年も11月を迎えて、金属植物作品が現在の見せ方になってから、
ちょうど10年となりました。
2007年から2年をかけて、2009年の物質の循環展で出展した作品も、
10年の歳月を経て少しずつのスペックアップを繰り返し、
良い意味では、この見せ方としての完成形を迎えているのかもしれません。
途中、インスタレーション的なものや、コンセプチュアルな見せ方など、
いろいろと違う方向性のアイデアが出ていました。
これらは次の10年から少しずつ見せていければと考えていますが、
とりあえずはこの見せ方を10年続けようと思いまして、
植物の勉強、登山での実地観察や技術的なスキルをあげることを、
第一に考えてやってきました。
今年からオーダーを受けられるようになったのは、
枠の中での完成度と上代のバランスが合ってきたこと、
価格の変動は必要がなくなったということがその理由です。
しかし、時間をかけて一から制作するので、
量販品と違ってキャンセルがあったときの問題など、
いくつか課題があります。
あとで販売すれば良いということではありませんから。
一点ものの作品に対しての考え、信頼、経年の価値の変化など、
見通せないことも多くありますので、
来月まで様子を見て、来年以降もオーダーを受けるのか、
それとも受けないのかを考えたいと思っています。
また、作家としての認知度が高まってきた一方で、その弊害も出てきています。
先日、懇意にしてくださっている建築家の方から、
忙しそうで敷居が高くなっちゃって頼みづらくなってますよと、
言われてしまいまして、本当にまずいなぁと。
現在でもスチールサッシなどのスチールワークや、
スペースプロダクトの本業があって、
atelierを維持することができています。
アートワークも重要なものになりつつあり、
これは本業のスチールワークがあってのものですので、
本業という位置づけで受けています。
個展などの作家活動だけでは全然維持していけません。
これから外部での展示を控えるなどして、
本業とのバランスを合わせていく必要に迫られているのかもしれません。
いずれにしてもすごく中途半端な状況というところでしょうか。
一芸に秀でることを美徳とする考えが日本人には根強いのですが、
僕はすごく苦手なんですね。
批判されるかもしれませんが、中途半端な立ち位置は嫌いじゃないんです。
嫌なこともそれはそれなりに付随してくるでしょうけれど、
いろいろ選択肢があることや楽しみが増えることは、
自分の人生にとっては大切なことですから。