「正直という牙」
「yellow」
一見して黄色なんてどこにも見当たらない。
二人の顔のない人物が走っていて、その横には数字が書かれている。
説明するのが簡単ではない(説明するものではない)芸術作品を観る私たちの思考には、
いつも紆余曲折したものが存在しているように思われます。
時には、内面における意識のありようの変化に留まるものではなく、
ものの見方や認識を改めることによって、
世界に対する心構えや人間関係までが一新されたような思いになることもあります。
それは、芸術が知識や経験といったものを、
量的に積み重ねていくことで成り立つものではないからなのでしょう。
一般的に物事を積み重ねていく集積という概念は量的なものですが、
芸術に関しては量が増加していくという考え方ではなく、
一貫した脈絡にあって完成度が高くなっていくところに拓かれていくものだと思います。
霞んだ行く先や今感じた瞬間、それぞれが連関していく「これまで」と「これから」。
変化や移ろいの中では不明だった理由や見通しが明らかになっていくのは、
芸術が持つ知識や経験の展開という成長性が、
観る側の私たちにも感じられるからではないでしょうか。
そんな「展開」していくものとして、
僕はこの「yellow」をはじめとする今回の作品を観ていました。
「赤い耳」
5月のatelier gallery、高里千世展「正直という牙」。
好天に恵まれた大型連休を終えて、会期後半を迎えました。
ご来場いただきました皆さまどうもありがとうございます。
皆さんにゆっくりとご覧頂いていまして、
いろいろなお話しができてとても良い時間を過ごせています。
会期は11日(月)までとなります。
お時間ございましたら是非お立ち寄りください。
高里千世 個展
「正直という牙」
会期:2015年5月2日(土)〜11日(月)
open:12:00〜19:00 会期中無休
会場:special source atelier gallery