松虫草
標高2056.9m、奥秩父の名峰大菩薩嶺。
中里介山の長編小説『大菩薩峠』で有名なこの山では、多くの山野草が咲きます。
晩夏の頃には、ハクサンジャシンやヒメトラノオ、
ハコネギクやソバナにヤマハハコ、そしてマツムシソウが見られますが、
大菩薩嶺への樹林帯ではあまり見かけられず、
2000mを超える雷岩からの稜線上を歩くと見ることができます。
アルプスの高原では多くの群生地が残っていますが、
東京近郊で見られる場所はどんどん遠くなっていくようです。
いつの日かアルプスでも見られなくなってしまわないよう、
大切にしていきたい季節の花です。
松虫草
scabiosa japonica Miq.
北海道から九州の幅広い地域に自生する日本固有種で、
晩夏の山地の草原に咲く二年草です。
頭状花序で中央は小さく、
周囲は唇状で大きく淡紫の花をつけます。
土壌によって色合いもそれぞれで、
真っ青なくらいのものもあれば、
濃紫や青紫、白に近い花も見ることがあります。
長野県の美ヶ原や霧ヶ峰などの高原では、
初秋を告げる花として、現在も群生して咲く姿を見られます。