十数年前、ビンテージ家具を扱うhikeさんに置いてあった田淵行男さんの本。
「山の意匠」。
ゆっくりページをめくっていくと、
自分の前に新しい世界が開かれてくるのを強く感じました。
静かに湧き上がる感動が全身を包み込み、
人生を大きく変える一冊の本と出会うという、
生涯忘れられない貴重な体験となりました。
そのまますぐに神田の古書街へ向かい、
その「山の意匠」と、「山の季節」「安曇野」「浅間八ヶ岳」を手に入れました。
僕もお弟子さんの水越武さんと同じで、
山や植物や蝶の美しい写真ではなく、
田淵行男さんのストイックな姿勢に強くひかれました。
生命への親愛の思いが溢れていて、
写真集というよりは、確かに博物誌のように感じました。
水越さんが「山の季節」で、
『先生は山の自然をリアルに直視して、
それらをストレートに記録する作業をしていた』と述べられていました。
僕はこれにならって山に入り、目にしたものを作るようになりました。
その後数年をかけて「日本アルプス」「尾根路」「黄色いテント」「山の手帖」、
そして「高山蝶」などほとんどの著書を入手し、残るすべてを今でも探し続けています。
先日日曜美術館という番組で、田淵行男さんが取り上げられていました。
ご覧になった方も多いかもしれません。
田淵さんの本を初めて手に取ったあの時を思い出しながら、
改めて生涯の師となった田淵さんの本を読み直す毎日ですが、
まだまだまだ自然への愛が足らないなぁと思う今日この頃です。
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投稿日:2019年1月21日 11:21
僕が深山に入って受け取ってきたものは、
ある人にとっては些細なもので、気に留めることのないものですが、
またある人にとっては心を震わせるもので、かけがえのないものになるかもしれません。
そんな些細なものに人生を捧げた人物がいました。
日本植物学の父、牧野富太郎先生です。
昨年の香川での展に併せて早朝の便に搭乗して、
高知県の牧野富太郎植物園に行ってきました。
僕はおもに日本の野草を制作していますので、
牧野先生が命名された植物を一番多く制作しています。
次いでカール・フォン・リンネ、次いでマキシモビッチです。
牧野先生とマキシモビッチの交流や須川長ノ助さんのことなど、
とても興味深く拝見しました。ありがとうございました。
僕はまだまだ植物に対しての愛が足らないなぁと思いました。
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投稿日:2019年1月14日 16:11
こんにちは。
香川県は高松市屋島の+106さんにて開催中の個展「季のフォルム」、
会期は後半となりました。
在廊しました初日には+106さんのご尽力により、
たくさんの方にご来場下さいました。
どうもありがとうございました。
自分たちが関わった空間で作品展が出来るということは、
幸せなことです。しみじみそう思います。
作家だけでやって行こうかと迷った時期もありましたが、
軸を変えないで本当に良かったと思います。
どうもありがとうございます。
「季(とき)のフォルム」
会期:2018年11月23日(金祝)〜12月2日(日) 11:00〜18:00 会期中無休
会場:+106 香川県高松市屋島西町2453-20 RENOWA YASHIMA 106
www.plus106.net
初日の朝は屋島に登り、屋島神社と屋島寺に立ち寄りました。
瀬戸内と五剣山の眺望が素晴らしかったです。
山と渓谷社の分県登山ガイド「香川県の山」の最初のページに記載されている屋島は、
風光明媚と謳われているだけあって流石でした。
また、屋島神社の入り口にあるうどん屋さんで肉うどんを食べました。
生の生姜を自分ですり下ろして入れました。
とても美味しかったです。ありがとうございました。
会期は残すところ4日間となります。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
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投稿日:2018年11月28日 23:19
こんにちは。
来週末の11月23日の祝日の金曜日から、
香川県は高松市屋島に昨年オープンされました+106さんで、
「季のフォルム」と題しまして、金属植物作品を出展します。
8年ぶりに蝶の作品も制作しました。
ハイエースにスチールサッシや棚やら何やら目一杯詰め込んで、
香川へ向かったのはまだまだ最近のことのように思います。
オーナーさんは4年ほど毎年atelier galleryにご来場くださり、
夢が現実になっていく過程を共有させていただきました。
自分たちで作ったお店で作品展を行なえるのは感慨深いものがあります。
お近くにお越しの際には、是非この機会にお立ち寄りくださいませ。
「季(とき)のフォルム」
会期:2018年11月23日(金祝)〜12月2日(日) 11:00〜18:00 会期中無休
会場:+106 香川県高松市屋島西町2453-20 RENOWA YASHIMA 106
在廊日:11月23日(金祝)
作品は21点出展する予定です。
www.plus106.net
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投稿日:2018年11月14日 17:50
こんにちは。
あっと言う間に「Flora of Tystnad 植物記」が会期を終えました。
長いようで短い25日間でした。
ご来場下さいました皆さま、どうもありがとうございました。
お声をかけて下さいましたIDÉEの皆さま、どうもありがとうございました。
20年振りとなりましたが、アウェイ感は微塵もありませんでした。
ホッとしました。。
自分を育ててくれた場所で展示をすることは、
この20年を振り返るようなことなのかなと思っていましたが、
過去を振り返るというよりは、新しいつながりが生まれたことの方が、
嬉しく感じられたのが正直なところです。
IDÉEはあの頃と同じように前を向いていました。
いろいろなことがあった20年だと思いますが、
僕は確かにこの場所に居たんだと思えました。
ありがとうございます。
次回は再来年2020年を予定しています。
今度のレセプションは真面目に集客を頑張らなければと思います。。
さて、atelier galleryのオープンですが、
11月はやはりオープンすることができません。。。
その分、12月は土日月を2回、6日間ほどオープンする予定です。
2週目と3週目になると思います。
3、4になる可能性もまだありますが。。
決まりましたらお伝えいたします。
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投稿日:2018年11月6日 21:57
青と白と黒の3色の羽根が、岩陰に咲く舞鶴草のそばに落ちていた。
山路で出会う鳥たちの落とした羽根に、僕が心を動かされるのは、
それらが容易に触れることのできない山の自然の一部で、
滅多に接触できない野生からの生の便りのように思えるからである。
たとえ小さくても、その中には奥深い山の造詣が凝縮され、
記録されているかのように思えるからである。
一の沢を下りる途中で休憩をしていると、
この羽根と同じカケスが常念に向かって飛んでいくのが見えた。
自然から受け取った便りを眺めながら、
また来年も山の友人たちに会えるのを楽しみに帰路に着いた。
Maianthemun dilatatum Nels et. Macb var. nipponicum Hiyama
舞鶴草
ユリ科マイヅルソウ属
size:w200 h285 t44
霧の多い山域の林床部に多く見られると書かれていることが多いのですが、
林床から外れた岩かげに自生しているのをより多く見かけているような気がします。
また、チゴユリと生態が似ているとも書かれていることが多いのですが、
チゴユリは丹沢山塊の標高400Mほどでも自生していますが、
マイヅルソウは南アルプスでも1000Mを越えないと見られません。
この花のように自然に生きるものたちは、机上では判断できない種が圧倒的に多いです。
Garrulus grandarius L.
懸巣
スズメ目カラス科カケス属
六本木ミッドタウンのIDÉEさんで開催中の「Flora of Tystnad モリソン小林 植物記」。
10月12日から11月5日までという、長い会期もあと一週間となりました。
会場は六本木ミッドタウンガレリア3階、11:00〜20:00まで開いています。
駅とつながっていますので、アクセスはとても良いかと思います。
今展では作品ひとつひとつにテキストを添付しています。
新たに変わった植物たちの表情とご一緒にご高覧下さいませ。
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投稿日:2018年10月30日 21:24
1995年、まだ骨董通り沿いにお店があった頃に、内装の施工会社から転職しました。
僕の仕事はおもにアパレルブランドの店舗デザイン設計でした。
勤務していたのは世田谷下馬のワークショップで、
地下に鉄工、1階に木工のアトリエがあり、
設計の仕事の合間にアトリエに入って、制作を手伝っていました。
当時は一人一人が色々な仕事をこなしていて、
夜中遅くまで作業をしていました。
家に帰ってくつろいだ記憶がありません。。
アトリエでは自分たちの将来のことや、
ジャン・プルーベやロン・アラッドやトム・ディクソンといった、
実際に自分で制作もするデザイナーの話をしたり、
マーク・ニューソンやカリム・ラシッドらの仕事に直接触れられたりしました。
忙しい中で自分に実力がなくて本当にきつかったのですが、
イデー全体が熱気とはまた違った、何かキラキラした雰囲気に包まれていて、
そんな時間はとても短かったのですが、毎日が楽しかったです。
あの中で過ごせたことが、現在の礎になっています。
1999年にIDÉEさんを離れてかれこれ20年という月日が流れました。
少し前になりますが、在籍当時大変お世話になった方から、
葉っぱのついた格子戸の制作依頼を受けました。
自分でも気づかなかったのですが、
これが独立して初めて請け負ったIDÉEさんからの仕事でした。
こうしてまた新たにつながりを持てたことに感謝しています。
明日10月12日の金曜日から、六本木ミッドタウンのIDÉEさんで展覧会が始まります。
設置の際に僕が在籍していた頃、一緒に仕事をしていた大先輩が会いに来てくれました。
すごく嬉しかったです。ありがとうございます。
六本木にワールドさんがあって、青山はIDÉEさんのショップがあって、
この周辺は毎日のように過ごしていた場所です。
自分を育ててくれた場所でしたので、展覧会を開催してくれる場所はないかと、
ずっとこの辺りで探していましたが、IDÉEさんに帰ってくることができてとても嬉しいです。
会期は11月5日までと長く設定していただきました。
本展ではフレーム作品に加えて立体作品も4点出展しています。
店内にカフェもあります。
お近くにお越しの際はぜひお立ち寄り下さいませ。
詳細はIDÉEさんのこちらのページをご覧下さい。
https://www.idee.co.jp/shop/news/201809/floraoftystnad.html
在店日は初日12日と13日の予定ですが、
午前中が、今入っている川崎の現場で打ち合わせがありますので、
午後からの在店になります。ご了承くださいませ。
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投稿日:2018年10月11日 16:16
こんにちは。
9月に入りました。
8月が過ぎてしまうと、12月まであっという間と思うのは僕だけでしょうか。。
スペソーはこの夏はいろいろなことがありました。
修行というか、修験者の方々に想いを馳せるような夏でした。
皆さんはいかがお過ごしになられたでしょうか。。
2018年後半の予定が決まり始めました。
来月、高里の展覧会があります。
10月19日(金)〜25日(木)の日程で
静岡県三島市にありますギャラリーsoraさんにて、
アクセサリー作家、小野泰秀さんとの二人展を開催します。
タイトルは「金の小舟と天鵞絨『ビロード』の空」です。
続きましてモリソン小林です。
11月23日(金祝)〜12月2日(日)
香川県屋島に昨年春オープンされました+106さんにて、
季のフォルムと題して、金属植物や蝶などの作品を出展します。
special sourceで作らせていただいた空間で作品を飾ることができるのは、
とても意義深くありがたいことです。
四国の皆さま、近県の方々、どうぞよろしくお願いします。
atelier galleryのオープンもほぼ決まりました。
9月は22日(土)〜24日(月祝日)
10月はお休みとなります。
11月は10日(土)〜12日(月)※予定
12月は8日(土)〜10日(月)※予定
現在依頼されている案件によっては、11月は難しくなる可能性があります。
12月はなんとかオープンしたいと考えています。
写真は白馬岳の幕営場での夜景です。
上弦の月が明るくて星はあまり見れませんでしたが、
とても清々しい夜で、北は月明かりに照らされた白馬岳、
東にはその月が輝き、南は雲海に浮かぶ峰々、
そして西には剣岳や立山連峰が並び、
全方位どこを切り取っても綺麗な景色でした。
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投稿日:2018年9月6日 22:46
10年前までおじいちゃんに聞かされていた戦時中の話も、
今は誰に聞けば良いのか。
皆歳をとり、我先をといってしまった。
ご先祖さまが眠る場所へ、
ジャングルのような密林を行くのは、
島では当たり前なのだけれど、
とにかく蚊がすごい。
長袖シャツの上からでも容赦ない。
真夏の炎天下にレインウェアを着て長靴を履いて蚊帳を被る。
これだから島の男はビールをたらふく飲む。
ドイツ人は朝からビールを水代わりに飲むさぁと、
いつも聞かされていたけれど、
なるほど、これほどたくさん汗をかけばおいしいかもしれない。
お水をたっぷり、お金もたっぷり燃やしてあげて、
雑草を刈り遂げる頃には、
お酒よりも、シャワーを浴びたいと思うのは、
おじいちゃんが言っていたように、
戦時中と変わらぬ心情なのかもしれない。
何べんも何べんも、
自分のために生きろと言われた人も、
何べんも何べんも、
人のために生きろと言われた人も、
みんな正解!とおじいちゃんは言っていた。
大切なものがわかればそれが一番いいさぁと言っていた。
おじいちゃんの大切なものは何?と聞いたら、
内緒と言った。
家の門を出て坂を下りながら振り返ると手を振るおじいちゃん。
その姿は真っ白な印画紙にたった今焼き付けたように、
夏の終わりを感じる頃になるといつも思い出します。
守るべきものを託されたこの時を、
僕は一生忘れることはありません。
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投稿日:2018年8月24日 0:19
こんにちは。
固まって微動だにしないセミに遭遇する機会が増えてきました。
そして、いつの間にか19時を過ぎると薄暗くなり始め、
夏の終わりが感じられるようになりました。
いい季節ですね。
南アルプスの麓、韮崎ICからほど近い穂坂に昨年末にオープンされました、
本坊酒造さまのマルス穂坂ワイナリー内に、
長さ2Mほどのブドウの葉と、日本の国蝶オオムラサキを制作しました。
蝶はずいぶんと久方ぶりになります。6年ぶりの制作です。
そして、先月にも新しくブドウの実をつけたものを、もう一点追加させていただきました。
アートディレクションはアートディレクターの黒田益朗さん、
空間はLandscape productsさんです。どうもありがとうございます。
ワインがお好きな方は是非お立ち寄り下さい。
本坊酒造さまのすべてのワインをご試飲できます。
この季節は白ワインからでしょうかね。いいですね。
はじめは酸味が気持ちのいいシュール・リーなどはいかがでしょうか。
その後ヴィオニエ、シャルドネなどをグイッといっていただいて、
真っ赤なものを。そうですね、ぼくはシラーでしょうかね。ここは。
そしてルージュ、ベリー、ノワール、、、
もう帰れません。。
日本が誇る良質なワインをぜひご堪能下さいませ。
さて、夏山シーズンは高山植物とともにすでに終わりを迎えています。
今年は高山植物と会うのはもう諦めました。。
もう少し巻ければ、そして何ごともなければ、
9月の中旬には深山に入れるかもというところです。。
とにもかくにも雷鳥には会っておきたい、平成最後の夏です。
マルス穂坂ワイナリー
山梨県韮崎市穂坂町上今井8-1
夏期:3月〜11月 9:00〜17:00
冬期:12月〜2月 10:00〜16:00
TEL:0551-45-8883
韮崎駅からタクシーで20分、韮崎 ICから車で10分でございます。
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投稿日:2018年8月15日 0:25