本の一年

moriokasan

 

 

 

 

 

 

皆さんこんにちは。

 

2016年も残りわずかとなりました。

 

皆さんにとって2016年はどんな一年でしたでしょうか。

 

スペソーは今年も素晴らしいクライアントさんの仕事の数々に参加させていただきました。

 

皆さまどうもありがとうございます。

 

年々僕らの仕事に対して、深い信頼を寄せて頂けるようになっております。

 

これからも作家性を高めるとともに、

 

一業者として、そして職人として多彩なご要望を叶えられるように、

 

日々精進してゆきたいと思います。

 

そんな充実したスペソー業務の一方で、

 

作家としては何と言っても「本」のことがあたまから離れなかった一年でした。

 

僕は幅は狭いのですが本を読むことはとても好きで、

 

世間一般的な読書量がどれくらいかはわかりませんが、

 

平均に近いくらいは読んでいるのではないかと思います。

 

しかしながら、本を作ることがこんなに大変だとは思ってもみませんでした。

 

今まで読んだ中で好きな作家さんの本を読み返してみたり、

 

クライアントさんが出版されている本や作品集など、

 

今までで一番と言っていいくらいの本を読みあさりました。

 

本を作るという事は、作品と同じくらい、もしかしたらそれ以上に大変な事で、

 

多くを語り継いでいくものなのかもしれません。。

 

 

 

 

森岡書店さんを知ったのは2010年の春でした。

 

改装を依頼されたアンティークの生地を扱うお店が、

 

森岡書店さんの上の階だったのです。

 

改装中に一度だけ、何気なく覗いただけでしたが、

 

とても印象に残りました。

 

真白の店内には縦長の窓からのやわらかい採光が広がり、

 

古書が積まれたテーブル什器と散在するアンティークの照明器具、

 

奥には写真がいくつか飾られていました。

 

それからしばらくして森岡書店さんは世間一般でいう古本屋ではなく、

 

様々なジャンルの作家さんを扱うギャラリーでもあるということを知りました。

 

同時に、作品集を出版しているか、

 

挿絵など本に携わっているような作家さんに限られているように感じていました。

 

2010年当時、クライアントさんの店舗だけで作品を発表していた僕にとっては、

 

手の届かない存在でした。

 

 

 

 

2012年に念願だったギャラリーをオープンして、

 

不安定だった仕事に少しずつ良縁が巡ってくるようになりました。

 

2014年に虎ノ門ヒルズのANDAZ TOKYOのアートワークに参加させていただいた時、

 

いろいろな作家さんがいる中、ギャラリーも付いておらず、あまりにも無名で、

 

やけに現場慣れしているということで、完全に浮いていることに気づきました。

 

このまま内弁慶ではいけないと思い立ち、

 

自分なりに精査して、いくつかのギャラリーにポートフォリオを送りました。

 

しかし待てど暮らせど、どこからも返事はありませんでした。

 

今にして思えば当然の結果でした。

 

客観的に原因を考えるうちに、作家活動の意義を考えました。

 

集客、知名度、売り上げ、作品の価値などを上げたいのか、

 

人との出会いや、つながりなどが欲しいのか、

 

仕事への付加価値を高めたいからなのか。

 

明確な答えが見つからないまま、月日だけは足早に過ぎていき、

 

作家としては明らかに不安定で、完全に伸び悩んでいる自分がいました。

 

 

 

 

2015年は年明けから蔵前で物件を施行していました。

 

首都高速が渋滞していたある日、茅場町を通りすぎると、

 

ふと森岡書店さんのことがあたまの中を駆け巡りました。

 

自分がなぜあの時に惹かれたのか、

 

それは自分の価値を上げる云々ではなく、

 

単純に空間が魅力的だったからです。

 

自分の作品に合うというか、呼応するものを感じていました。

 

そして、本がとても引っかかっていたのです。

 

未知の可能性、展開を秘めているように思えてならなかったのでした。

 

スペソーに戻るとすぐに森岡さんにメールを送りました。

 

作品の写真も添付して。

 

数日後、もろもろ快諾していただいた旨の返信が来ました。

 

本は用意出来なくても大丈夫ということで、

 

とりあえず森岡さんが展示会のコンセプトに合う本を選定する方向になりました。

 

この時は展覧会が出来るということよりも、

 

初めてギャラリーからの返事をもらったことに感激していたかもしれません。

 

 

 

 

それから少しして森岡さんは茅場町から、

 

一冊の本を売る書店というコンセプトのもと銀座に移られました。

 

僕はまだ、作家として活動する意義を見出せず、

 

悶々とした日々を送りつづけていましたが、

 

この森岡さんの転機がきっかけで、

 

本を作る方向に流れが変わっていきました。

 

森岡さんが店舗を凝縮させた意味がとても気になり、

 

これは本を作らなければ理解できないと思ったのです。

 

そうすることで、自分が求めているものが何かを、

 

知ることができるような気がしていました。

 

 

 

 

「記録集」は2007 – 2016とあるように、10年間の記録です。

 

2007年から始めたいところでしたが、

 

あまりにも長くなりそうなので控えました。

 

本を作ってみて、そして展覧会をしてみて今思うことは、

 

自分と真剣に向き合うことができて良かったということです。

 

本は作品では伝えられない何かを伝えられるように思います。

 

紙も印刷も歳をとっていくということも自分には大切なことだと感じました。

 

作家として成長するために必要な要素はそれぞれだと思いますが、

 

僕は作家として行き詰まっていた中で本を通じて成長でき、

 

自然の中にもう一歩踏み込んでいきたいと思う一方で、

 

自分は空間に携わる仕事がとても好きだということが再確認でき、

 

これからの展開も見えるようになりました。

 

森岡さんは本を通じて僕をキュレーションしてくれたのかもしれません。

 

 

 

 

 

さて、本を中心に回っていた2016年はもうすぐ過ぎ去ろうとしています。

 

来たる2017年は物件を確実に納めていくこと以外はまだなにも見えませんが、

 

次なる本の構想は毎夜尽きることがありません。

 

皆さんもご自分で本を作るとしたら、

 

どんなものになるのか構想を練ってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

本年2016年もどうもありがとうございました。

 

2017年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

高里も中村も皆さまへご挨拶のblogを更新しておりますので、

 

そちらもご覧いただければと思います。

 

 

 

それでは、新しい年の風が温かく時に冷たくとも、皆さまどうかご無事で。

 

 

 

 

 

 

 

 

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