流木と街路樹

 

 

 

 

祈りの聖霊(w170d210h680杉流木)

 

 

 

 

 

 

僕が彫刻の素材である木を得るには、

 

野山に行ったり海や湖に行ったりして拾ってくることが多いと思うかもしれませんが、

 

街で伐採しているときに、偶然道を通りがかっていただくことが意外とあります。

 

先日も蔵前の現場へ向かう途中、

 

国会議事堂の近くを通りがかったところ、

 

業者さんが木の枝を伐採していました。

 

枝と言っても直径20センチ以上のもので、

 

150センチくらいの長さが数本あります。

 

他にも直径5〜10センチくらいのものもたくさんあって、

 

ワークショップ用にもってこいです。

 

早速車を止めて業者さんにお願いしてみると、

 

あっさり「好きなだけ持っていっていいよ」と快諾してもらえました。

 

車に積み込みながら切り口をよく見ると、

 

だいぶ目が詰まった良質なケヤキの木でした。

 

そろそろストックが心配になってきていた矢先の出来事だったので、

 

素晴らしい巡り合わせだと感心していました。

 

 

 

画像の祈りの聖霊は杉の流木で彫ったものです。

 

流木はだいたい堅い芯の部分だけが残ります。

 

なので、柔らかく細密な彫刻に不向きな杉でも、

 

比較的崩れることなく表情を作ることができます。

 

流木はおおむね自然が樹の命を終わらせて、自然によって形作られたものです。

 

自然の中にあるだけで充分に格好よくて、

 

作品の素材としてはそのままでもいいくらいのものです。

 

山林で伐採されるものは資材や薪などで使用されますが、

 

街中で伐採されたほとんどの樹々は捨てられていくだけです。

 

自然の中で朽ちていくのならともかく、

 

自分が暮らした場所とは関係のないところで朽ちていかなければいけません。

 

だから僕にとっては、街路樹も流木と同じように自然の尊厳を感じます。

 

こうして一期一会の新しい樹々を迎えられるたびに、

 

自分が自然の中の一部であることを実感できるからなのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 2015年2月
    « 1月   3月 »
     1
    2345678
    9101112131415
    16171819202122
    232425262728  
  • 新着記事

  • カテゴリ

  • 過去ログ

  • 画像及びテキストの無断使用は固くお断り申し上げます。

    Copyrights©2012 All rights reserved by special source & hot stuff associates