5月のatelier gallery
5月に入った途端に季節が夏に移行したように感じます。
連休があったように思いますが、あっという間に過ぎ去りました。
5月のatelier galleryは今週末の10日(土)から12日(月)の3日間オープンいたします。
昨年、打ち合わせ先で以前見かけたことのあるオブジェがありました。
鉄で作られた飛行機が錆びて朽ち果てて、大地に還ろうとしている。
彫刻家の佐脇健一さんの作品です。
「あらゆる存在は、この風景の中では滅びの運命に逆らうことなく記憶への変容を遂げて、
静謐な中にも、懐かしさと愛おしさにあふれた特別な存在となる」
昨年の今頃に開催されていた、目黒区美術館での回顧展の冊子に書かれていた文章です。
佐脇さんはブロンズの鋳造技術を駆使して作品を制作されていますが、
金属だけではなく木や石、砂などの素材も使用されています。
また、立体だけではなく写真や映像、そしてインスタレーションなど、
その表現方法は多岐に渡る作家さんです。
先日、仕事で佐脇さんとご一緒する機会があり、
初めてご本人とお会いすることが出来ました。
しかし、複数名の作家さんがいらしていたのと、
かなりタイトな工程の仕事だったということもあって、
いろいろとうかがいたいことがたくさんありましたが、
充分にお話しすることは出来ませんでした。
朽ち果てた飛行機や潜水艦がある風景、
佐脇さんのそれらは「未来の記憶」。
かつて自分でも見たことがあるような、
記憶の片隅を照らされるような素晴らしいテーマです。
今回のような巡り合わせを運んできてくれたのは、
おそらく「物質の循環」というテーマが、佐脇さんと通ずるものがあったからだと、
妙に納得して嬉しさを感じながら、現場で作業をしていました。