2013年の回顧その1「物質の循環展3 ケルン at HIKE」

 

 

 

 

 

 

先日無事終了いたしました「金属の像刻花展」。

 

事前にアポイントメントをいただいていた方に25日のクリスマスにお越しいただきまして、

 

atelier galleryはまた日常に戻り、作業場へと姿を変えました。

 

皆さまどうもありがとうございました。

 

 

 

2013年はatelier galleryオープンに伴い毎月いろいろな方にご来場していただいて、

 

one-offやスチールサッシなどのオーダーや、

 

スペースプロダクトも数件手がけさせていただいて、

 

大変充実した毎日でした。

 

そんな中、地道にだいちゃんの目を盗んでは作品制作に励み、

 

今年は3回の個展を開催しました。

 

今回は6月末から7月中旬まで中目黒は東山のHIKEさんにて行った、

 

「物質の循環展3 ケルン」を振り返りたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ご存知の方も多いと思いますが、

 

金属の植物作品が生まれたのは第一回目の「物質の循環展」でした。

 

HIKEさんにはスペソーを始めてすぐの頃から懇意にしていただいていて、

 

僕が彫刻を彫りはじめた最初の「the Holy statue(2007)」を大変気に入られて、

 

「自然との共生と物質の循環」をテーマに、「物質の循環展」を開催させていただきました。

 

 

第二回目は里山の記憶の断片をコンセプトに植物だけではなく蝶などを制作しました。

 

今回の3回目は、金属の植物とはまた違ったアプローチで「自然との共生と物質の循環」を捉え、

 

「ケルン」という”自然にありながら人為的に作られて存在するもの”を制作しました。

 

 

 

山を登ると道中や山頂などで石が積み立てられた様々なかたちをした石塚を見ることができます。

 

道標や記念として積み上げられたものですが、小さな石を重ねた拳くらいの大きさのものや、

 

背丈を超えるような大きなものまで、山々によって種々多様です。

 

それらをケルン(cairn)と呼びます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

HIKEさんの影響で山に入るようになってから数年、

 

今年は本格的に山に登るようになりました。

 

以前も書きましたが、「ケルン展」でのコンセプトは、

 

僕とHIKEさんの双方で考えたものでした。

 

 

 

 

 

人はなぜ山に登るのか。

 

「Because, it is there.(そこに山があるからだ)」

 

 

 

 

かつてジョージ・マロニーがエベレスト登頂前に語った有名な言葉ですが、

 

山に登る理由とは無数にある山と同じように、それぞれ多種多様であるように思います。

 

 

 

達成感がもたらす至福、克服から生まれる自信、自然との対話、

 

文明の及ばない太古の姿から得る泰然自若、宇宙に近づくことによるカタルシス….

 

 

大きい山小さい山、高い山低い山、

 

急だけどまっすぐな道、なだらかだけど曲がりくねった道、

 

見通しはいいけれど崖ばかりの道、先は見えないけれど森や生きものに囲まれた道….

 

 

 

なんだか人生そのもののような気がします。

 

人生にいろいろな紆余曲折があるように、山も思い通りにはさせてくれませんから。。

 

 

 

そんな山登りの道中に、普遍的で寛容で純粋な存在を目にすることがあります。

 

もちろん自然が作り出したものがその大多数を占めますが、

 

だからこそより際立つ、人為的なかたちをしたもの、それが『ケルン』です。

 

 

 

 

ケルンは山頂に近づけば角がある岩石で、麓に近づけばまるい石ころで積まれたものになります。

 

おそらく、ケルンの年季の入り具合から察すると、

 

太古からそれを積み上げるという習慣が、人にはあったのだと思います。

 

一見、自然と一体になって、思考の入り込む余地などないように思えますが、

 

それらケルンには、独自の哲学と思想が感じられます。

 

ひとつひとつの石は、物質として存在している具象的なものですが、

 

積み上げられたそれは、精神の尊厳であり、物質としての仮象であるような、

 

抽象的なシンボルに僕には見えました。

 

 

 

 

自分が一番上に積んだものも、また誰かが上手に積み重ねていきます。

 

それでも人が積めるような小さな石は崩れ落ち、自然が積み重ねた大きな石は動きません。

 

所詮、人間ができることは限られているのかもしれません。

 

 

この都会では、僕らひとりひとりがそれぞれケルンなのかもしれません。

 

ひとつの目標、意志や理念に辿り着いたとき、そして向かうとき、

 

またケルンをひとつひとつ積み重ねていきます。

 

指標になるべく事象がどうあるかによって、人生の豊かさは変わってくるのかもしれません。

 

 

 

 

宇宙に近づくための羅針盤 ケルン

 

山や森の精霊たちが宿る ケルン

 

数々のドラマや輪廻を刻んだ 山の道標

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「物質の循環展3 ケルン」では、実際に山にあった流木を彫刻してケルンをひとつずつ制作しました。

 

多くの方が「これは石ですか?」と尋ねられていたようですが、すべてにのみを入れています。

 

ひとつひとつはなんでもないただの石ころですが、積み重ねることでその存在感が増すケルン。

 

人と人、自然と人とのつながりを感じさせ、「自然との共生と物質の循環」という主題に対して、

 

また新しい答えを運んできてくれました。

 

 

 

この「ケルン展」ではいつものカタログではなく、ポスターを制作しました。

 

現在少しずつ時間を作って、25のケルンそれぞれの持つ哲学思想とストーリーなどを書き綴った、

 

ノベリティーのカタログを制作しています。

 

ケルンをお持ちの方には、完成次第お送りさせていただきますので、

 

どうぞお気を長くしてお待ちくだされば幸いです。

 

 

 

次回の「物質の循環展4」はまだ何も決まっていませんが、

 

またHIKEさんにて開催させていただく予定です。

 

時期的に冬山シーズンはHIKEさんが忙しいので難しいかもしれませんが、

 

なんとなく晩秋から冬の時期が、「物質の循環」には合っているような気がします。

 

その時はどうぞ宜しくお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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